相続が発生し、市・区役所又は町村役場の税務課等へ行き、固定資産課税台帳に登載されている土地や家屋の評価額証明書を見た方も多いでしょう。

評価額証明書には、不動産が一筆または、一個ごとに所在地や家屋番号等が記載され、法務局での登記上の地目と、市区町村が認めた現況地目が併記されています。地積(土地の面積)又建物の床面積が記載され、評価額が記載されています。評価額は、証明される年度の1月1日の評価です。土地の評価は、地積に所在地の1㎡あたりの評価単価をかけて計算されています。

固定資産税の課税では、この評価額に税率を掛けて課税しています。現況地目が公衆用道路となっていると評価額欄は非課税と記載されています。固定資産税は掛かりません。

さて、相続のとき、相続税の計算ではどうなるのでしょうか。非課税とされた評価額の隣の欄に備考欄があり、「近傍宅地価格〇〇円/㎡」と記載されていませんか。登記の地目にかかわらず、現況が「公衆用道路」と記載されて評価額非課税の土地でも、相続税の計算では課税になる場合があります。例えば「公衆用道路」が自宅への袋地の場合などです。道路が「不特定多数の者の通行の用に供されている(道路と道路をつないで誰もが通り抜けできるような場合など)」は、相続税の計算でも非課税です。通り抜けのできない袋地などでは、相続税の計算対象で近傍の宅地価格の30%が評価額とされます。具体的には、「地積✕近傍宅地価格〇〇円/㎡✕30%」の価額で計算しなければなりません。

相続税の評価額計算では、道路の所在状況により、非課税と課税になる場合があります。気を付けてください。

それでは、法務局で相続による所有権移転登記ではどうでしょうか。「通り抜けの可否にかかわらず」評価額欄が「非課税」の記載でもすべて登録免許税の計算対象です。評価額の計算は、「地積✕近傍宅地価格〇〇円/㎡✕30%」と同じです。

※評価証明の記載方法は上記と異なっている場合があります。ご了承ください。
※計算が上記の場合と異なるようなとき、税務申告では税理士に、不動産登記では法務局の相談窓口又は司法書士にご相談ください。