山ゆりと「泣いた赤おに」

先月、千葉県山武市のお寺の住職にSNSで友達リクエストをし、承認をいただきました。仏教とはあまり縁のない私ですが、いろいろと興味深い投稿を拝見させて頂いてます。

○○寺報令和元年お盆号の投稿が届き、その中に「山ユリが満開に」と題するコラムがありました。住職のお寺の近辺では、以前自生していた山ユリが見られなくなったので、境内にその球根を植え、ようやく今年は花を咲かせたそうです。「高貴な香りが境内に漂い、今後も少しずつ増やして行きたい」と記されていました。

小学生の頃、母方の祖母が浜田廣介童話集を買ってくれました。その中に「泣いた赤おに」が収録されていました。住職の山ユリの「高貴な香り」という言葉で、「泣いた赤おに」の最後シーンが目に浮かびました。

青おにが悪役を買って出て、村人の前で大暴れして、それを赤おにが追い払ったので、村人と赤おにが仲良くなれました。その際、青おにが柱の角に頭をぶつけたので、赤おには心配して青おにの住処を尋ねました。入り口に赤おにに宛てた貼り紙があり、「君がせっかく仲良くなった村人から疑われないように、君とはしばらく会えない。旅に出る。」と書いてあったので、赤おにが涙を流して泣くのです。

青おにの住処の周りには、山ゆりが咲いていていました。山ゆりのむせ返るようなあの甘い匂いと、赤鬼が熱い大粒の涙をハラハラと落とす姿を想像してしまうのです。

私が生まれ育った千葉県芝山町も、山林の中や土手によく山ゆりが咲いていて、その甘い匂いが脳裏によみがえります。小学生の頃、家の裏は、手入れの好く届いた杉木立の山林で、そこの所々に山ゆりが咲き芳香を放っていました。当時、7月と8月を通しても最高気温が30度を超える日は2日程度(最高気温も32度程)でした。大きく育った杉木立の下は、とても涼しかったのです。

現在は、富里市に住んでいます。周囲に山ゆりの咲く姿はありません。毎日のうだる様な暑さにも辟易します。自宅の庭にカサブランカの大輪が数年にわたり多数咲きますが、赤い雄しべ以外は単に白いだけで、その匂いも物足りません。やはり、山ゆりの白い花びらにさす黄色い線とまだらの模様のコントラスとその甘い匂いが懐かしいです。

何年かして、住職のお寺を訪問したら多数の山ゆりの出迎えに遇えるかもしれません。

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