関口雄揮のリトグラフ

一枚のリトグラフを事務所に飾った。多分、リトグラフなのだと思う。なぜなら、フランス製のリトグラフで使用する用紙に印刷されているからだ。

通常のリトグラフは、作者のサインとエディションナンバ―もしくはE.A.やH.C.などと鉛筆書きされている物を目にする。画寸が縦35cm×横46cm位の絵だが、他には何の記載もない。何らかの事情で製作が途中で中止されたものなのだろうか。この作品は、インターネットオークションで手にいれたもので、出品者は最初からサインとエディションの記載がないと表示していた。私もその辺りは気にしていない。

原画は、「雨のメトロ広場」と言い、1988年の作で、大きさは170.5cm×216cmだ。成川美術館の「関口雄揮-冬の旅人-」と言う画集に載っている。作品の落札金額より送料の方が高かった。作品を入れる額を買い、事務所で眺めている。

画集の記載によると、関口雄揮は1942年に東京美術学校に入学したが、学徒出陣し飛行隊に配属され、操縦桿も握っていたとある。1945年の敗戦を、水戸の航空通信学校の教官(少尉)で迎えた。東京芸術大学日本画科を首席で卒業し、その後フランスへ文部省給費留学した。

フランスで孤独や不安で苦悩していた時、初冬のパリのメトロ広場で背を屈めて通り過ぎ行く人々を見た。「俺だけではない。皆一人なのだ。」と関口雄揮は、画家の道を自分の足で歩いていこうと思った。その時の心情を回想して描いたのが「雨のメトロ広場」だ。

関口画伯は、2008年に逝去された。「雨のメトロ広場」は、箱根の成川美術館で展示されているようだ。いつか、画伯の現物の大作を見に行きたい。

 

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