GETTONE 伊の電話コイン
- By: Uchidatoshio
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事務所に白い豚の貯金箱がある。箱と言っても、四角い箱を思う人はいないだろう。真っ白な陶製で、まん丸なすを横たえたような姿、とがった耳と突き出た丸い鼻、くるっと一回りした尻尾をあしらい、四つの足がついている。振るとジャラジャラ音がするがそれほど重くない。おなかの部分にゴム製のふたが付いていて、割らずに中から硬貨を取り出せるようになっている。
中から、GETTONEと刻印された丸い金属片が出てきた。大きさはちょうど100円玉と500円玉の中間くらいで、GETTONEの刻印下には、横一文字に溝が彫られていて、その下にTELEFONICOと刻印されている。縦方向に180度ひっくり返した裏面には、日本の黒電話をひとつ前の世代にしたような電話機が刻印されていて、上下を挟むように横の溝が2本ある。
以前、イタリアに一人旅をした。イタリア語を全然知らずにローマからナポリに行く電車を利用した。適当に切符を買い電車に乗った。後で精算すればよいと思った。車窓には、小さな山々や田舎の風景が広がっていた。途中で車掌が検札に回ってきたので、何とかナポリに行くと伝え、車掌の言うままにリラ紙幣を渡した。お釣りをもらった。渡されたときには何も気づかなかったが、他の硬貨に混ざってGETTONEが一枚入っていたのだ。これは何だろうと後で思った。イタリアではきっとこの硬貨が金銭コインの代用として使われているのだと気づく。受け取ったのはいいが、いくらの価値があるのかわからない。だから使うこともできず、そのまま白い豚のお腹に収まった。
インターネットで調べると、GETTONEとはトークンの意味であり、代用貨幣との訳もある。アメリカで地下鉄等の公共交通機関でもトークンが利用されている。イタリアでは、2001年まで公衆電話に専用のコインが使われていたようだ。他のトークンの画像を見ていたら、中心に電話機の絵、その周りを公用電話専用と刻印した硬貨があった。「え!日本にもこんなものがあったのか」と思ったら、単なる早とちり。台湾の電話トークンだった。
GETTONEは、再度白豚の腹に収まった。