贈与税を過誤納
- By: Uchidatoshio
- カテゴリー: 事務所
父は生前、私に家を建てる土地をやると言って、所有権移転に必要な書類を揃え、司法書士に依頼して約500㎡の畑を贈与してくれました。その土地の登記上の地目は「山林」ですが、畑として使用していたため、現況主義の税務上の「畑」とされる土地でした。登記手続きが終わり、父は登記済証を送ってきてくれました。司法書士は、税金がかからないようなことを言っていたが、自分で調べてみて必要なら税金(贈与税)を払っておきなさいとのことでした。
贈与税の計算は、その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与によりもらった財産の価額を合計して、基礎控除後の課税価額に税率をかけて計算するようになっています。司法書士が父に渡した登記済証には、富里町の固定資産税評価証明書のコピーが添付されていました。そこには鉛筆で「農振」と走り書きされていました。そのことは気にせず、その評価証明に記載された課税価格をもとに、贈与税の計算に取りかかりました。
地目は山林ですが、現況は畑なので畑の財産価額を求めなければなりません。固定資産税の計算には、評価証明書の課税価額がそのまま使用されますが、相続税や贈与税の計算は違います。その土地の所在地によって「路線価方式」か「倍率方式」かが決められています。私の土地は倍率方式の土地でした。
倍率方式では、固定資産税評価額に国税局長が定めた一定の倍率を掛けたものが、課税価額になります。評価証明書に記載された課税価額にその「畑」としての倍率を掛けると約200万円ほどになりました。基礎控除額の110万円を控除して、10%の税率で計算して贈与税を納付しました。
その後、税務署から「お問い合わせ」という手紙が届きました。あなたは最近土地の贈与税の申告をしましたが、土地の地目の倍率計算と相違していませんかというものでした。山林の評価の倍率は〇〇倍と記載してあり、そのまま計算すると評価額がすごく大きくなるのです。一瞬ドキッとしましたが、現況主義で計算したのだから、その旨を記載して回答しました。もともと山林の評価額は、農地より低く設定されているので、何十倍の倍率でも大した金額になりません。現況「畑」として評価額が高く設定されているので、登記地目の山林ではなく畑の倍率を使うのが当たり前なのです。当然税務署は、富里町に現況の問い合わせをしたことでしょう。
その後、私は行政書士試験を受けて、行政書士内田敏夫事務所を開業しました。当初は事務所を賃借していましたが、父から譲り受けた土地に自宅兼事務所を建てることにしました。富里市役所(市制施行)に行くとそこの土地は、農業振興地域に設定されているから、農振の除外から始めてくださいと言われてしまいました。私はその時初めて、父から譲り受けた土地か農振地域に設定されていたことを知ったのです。会社勤めをしているとき、「農振」などという言葉とは一切無縁でした。
私は、登記済証を取り出し、農振と鉛筆書きされた評価証明書を見ると同時に、その時の倍率表を見ました。農振地域の土地はそれ以外の土地より低い倍率計算なのです。計算すると、基礎控除額110万円に納まるのです。贈与税を過誤納していました。しかし、税金の時効5年はすでに過ぎ去っていました。司法書士はちゃんと調べていたのです。
税務署は、税金を取ることには一所懸命ですが、多く収められた税金を正しく計算しなおすという気がないことに気づきました。山林の倍率計算ならば税金を多く徴収できると考える一方、農地が農振地域に該当するかどうかは気にしないのです。仮に苦情を言っても調べる義務はない、期限内に還付請求できなかったあなたが悪いというばかりでしょう。
知り合いに土地家屋調査士さんがいます。調査士さんは、「地目が山林なのに農振地域に指定するとは、富里もおかしなことをするなー。」と言っていました。